アメリカ建設業界が受けた影響

アメリカでは約1,600億ドル(約17兆6000億円)の建設プロジェクトが、今回の新型コロナウイルスにより、延期または何らかの影響を受けたとされました。


世界経済にも大打撃を与えた今年3月、アメリカの建設への支出は多くの部門で減少を示しましたが、全てが減少になったものではありませんでした。


米国国勢調査局のデータからすると、アメリカ建設業界への総支出は、季節調整済み年率で2月から0.9%増加となり、1年前の2019年3月から見ると4.7%の増加となりました。


アメリカの大手ゼネコンや建設関連会社からなる協会「Associated General Contractors of America (AGC)」の報告では、住宅改修・補修の区分に増加が集中しており、1か月で10%(170億ドル、約1兆8700億円)も急増したとされています。


しかし、その他のすべてのカテゴリ(公共、民間の非住宅および新しい住宅建設)は、月の合計で0.5%の減少でした。


また、国勢調査局のプレスリリースでは、11の民間非居住カテゴリの内10が、2月からの支出が減少したとの発表もありました。

宿泊施設は-2.2%、月は-13%です。アミューズメント施設とレクリエーション施設、それぞれ-1.9%、月で-15%。 そして私立教育、-1.6%、月で-18%。


例外は、0.3%上昇した『通信建設』です。

これは、在宅勤務、教育、娯楽のためのネットワーク接続性向上に対する需要を満たすための施設への支出を反映している可能性があります。


また公共建設支出も、月間で0.7%、前年比で7.9%増加しました。

最大の公共部門である高速道路は4.6%、道路建設は5.5%と、それぞれ上昇。

これは、“穏やかな冬の天候”と、交通量の減少に伴って請負業者がより多くの車線を閉鎖したり、長時間労働したりすることが可能になった州での“プロジェクトの加速”、の両側面により伸びたのが原因です。


土地、航空、水輸送への公共支出も、その月で0.4%、前年比8.6%増加しました。

一部の空港では、フライトと乗客が減少したため、公共建設同様の理由により“プロジェクトが加速”しました。


新型コロナウイルスによる影響が出始める前までの数値を加味して前年比の増加が多いかも知れないですが、それでも、前月比から増加している事を見ると、これから変わろうとしてくる時代に合ったカテゴリに増加傾向が出ていると見ても良いのではないでしょうか?


言い換えれば、増加しているカテゴリが今後変わるであろう世の中にマッチしているカテゴリであり、そのように変えていこうという表れとも取れ、また、今このような状況だからこそ増加傾向になっているカテゴリもあると言えると考えられます。


アメリカの経済、建設業界、市場の状況は日本の数ヶ月先、数年先と言われています。

今後の動向にも注目です。

MCIC Japan 建設コラム

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